彼が言うには、「雪の日は儲かるんです」とのことだった。
――そりゃ東京の人は雪に慣れてないから転んだりするし、タクシー使うでしょ、と返したのだが、それだけではないのだと。
「雪の日は個人さんがいないので」とのこと。いやつまり個人タクシーがいないので、彼のような法人タクシーの運転手は売上が上がるんだそうだ。
――?
私が不思議そうな顔をしているのを見て取った彼が続ける。
「個人タクシーは、車にこだわる人が多いじゃないですか」
「そうですね、高級車に乗る人までいるくらいだし」
「雪の日は、タクシーはスタッドレスを履きます」
「まあそうでしょうね危ないから」
「個人さんは、扁平率の高いタイヤを履いてるんで、スタッドレスが高いんです」
「……」
「東京でスタッドレスが必要なのは、まあ年に数日です」
「なるほど。休んじゃうんですね」
「そうです。たった数日の稼ぎのために買うのがばからしいので、休むわけです」
「まあ個人さんはベテランだから体力の問題もあるし、『上がり』みたいなもんだから、無理して稼ぐ必要ないですもんね」
「車好きだったりすれば、なおのこと。雪でふらふらした素人にぶつけられても嫌じゃないですか」
「だから法人が儲かるわけだ」
「ええ」
「そもそも法人だと勝手に休むわけにはいかないでしょうしね免許制だし。いくらタイヤが高いったって」
「後で国交省に呼び出されるでしょうね」
「同業者にチクられたりしてね」
ここでしばらく、車内を沈黙が支配した。
「雪の日は、プリウスのタクシーがいいですよ」
「えっ」
「プリウスはFFですけど、コンピューターの誤動作を避けるため4輪にスタッドレスを履くので」
「へえ」
「……あと、雪の日の個人タクシーはどうでしょう」
「営業してる方も当然いる」
「ええ、それでもちろん全部じゃないですが、ふらふらしてるのがたまーにいますから」
「それはつまり」
「スタッドレス履かずに営業してるんでしょうねもったいないだか面倒だかで」
「なるほど」
――そりゃ東京の人は雪に慣れてないから転んだりするし、タクシー使うでしょ、と返したのだが、それだけではないのだと。
「雪の日は個人さんがいないので」とのこと。いやつまり個人タクシーがいないので、彼のような法人タクシーの運転手は売上が上がるんだそうだ。
――?
私が不思議そうな顔をしているのを見て取った彼が続ける。
「個人タクシーは、車にこだわる人が多いじゃないですか」
「そうですね、高級車に乗る人までいるくらいだし」
「雪の日は、タクシーはスタッドレスを履きます」
「まあそうでしょうね危ないから」
「個人さんは、扁平率の高いタイヤを履いてるんで、スタッドレスが高いんです」
「……」
「東京でスタッドレスが必要なのは、まあ年に数日です」
「なるほど。休んじゃうんですね」
「そうです。たった数日の稼ぎのために買うのがばからしいので、休むわけです」
「まあ個人さんはベテランだから体力の問題もあるし、『上がり』みたいなもんだから、無理して稼ぐ必要ないですもんね」
「車好きだったりすれば、なおのこと。雪でふらふらした素人にぶつけられても嫌じゃないですか」
「だから法人が儲かるわけだ」
「ええ」
「そもそも法人だと勝手に休むわけにはいかないでしょうしね免許制だし。いくらタイヤが高いったって」
「後で国交省に呼び出されるでしょうね」
「同業者にチクられたりしてね」
ここでしばらく、車内を沈黙が支配した。
「雪の日は、プリウスのタクシーがいいですよ」
「えっ」
「プリウスはFFですけど、コンピューターの誤動作を避けるため4輪にスタッドレスを履くので」
「へえ」
「……あと、雪の日の個人タクシーはどうでしょう」
「営業してる方も当然いる」
「ええ、それでもちろん全部じゃないですが、ふらふらしてるのがたまーにいますから」
「それはつまり」
「スタッドレス履かずに営業してるんでしょうねもったいないだか面倒だかで」
「なるほど」